イスタンブールのハイダルパシャ駅が一部焼失

 ヨーロッパとアジアの境界上にあるトルコのイスタンブールは、ボスポラス海峡を挟んでアジア地区とヨーロッパ地区に分かれています。鉄道もヨーロッパ側とアジア側で路線が分かれていて、ヨーロッパ側のターミナルはシルケジ駅、アジア側のターミナルはハイダルパシャ駅となっています。4〜6月のユーラシア横断旅行では、イランのテヘランからイスタンブールに向かう国際列車「トランス・アジア・エクスプレス」に乗りましたが、終点駅は当然ながらアジア側のハイダルパシャ駅でした。

 このハイダルパシャ駅は、ヨーロッパ側のシルケジに向かう連絡船との乗り換えを前提に建設されたことから、駅舎が埠頭の突端にあり、しかも駅舎正面が海側を向いているという珍しい配置になっています。おかげで連絡船の甲板から、ハイダルパシャ駅の大柄な駅舎がよく見えます。
 ところがこの駅舎、11月下旬に一部が焼失したというニュースを、今日になって初めて知りました。

トルコの駅舎で火事、歴史的建造物一部焼失
日テレNEWS24 2010年11月29日15時58分
(前略)火災に見舞われたのは、20世紀初めにドイツ人建築家により建てられ、現在も使われているハイダルパシャ駅で、出火当時は修復作業が行われていた。この火災で駅舎の4階と天井の大部分が焼失した。ケガ人はおらず、列車の運行も数時間後に再開した。(後略)

 すぐに運転を再開したとのことですから、実用上の被害はほとんどなかったようですが、この記事にもあるように、ハイダルパシャ駅は20世紀初頭にドイツ人が建設した歴史的な建造物で、保存対象の建物になっていたはずです。出火当時の「修復作業」というのも、おそらく駅舎保存のための修繕だったのでしょう。今後、保存活動に影響が出るのかどうか、気になるところです。