屋代線の木造駅舎で写真展

 ときどき取材仕事でご一緒させてもらっているカメラマンの米屋浩二さんが、長野電鉄屋代線信濃川田駅で写真展を開催しています(木造駅舎で「木造駅舎写真展(2)」開催決定です。−鉄道憧憬〜線路は続く)。
 気弱な性格のわたしは、「カメラマン」という言葉を耳に入れると「目を血走らせて被写体を追い回す怖い人」を想像してしまうのですが、米屋さんはそのようなイメージとは正反対で、どこかのほほんとした風ぼうです。15年前に初めてお会いしたときは、そんな印象を持ちました。
 しかし、実際には強固な信念を持って仕事に取り組んでおられる方で、その写真からは彼の人柄や信念がにじみ出ています。子供だましの駄文を書いて、そこそこの人気すらないボクとは雲泥の差があります(苦笑)。
 話を戻しますと、米屋さんは木造駅舎で木造駅舎の写真展を開くという、ちょっと面白いことをされていまして、今回の信濃川田駅が2回目とのこと。開催期間は11月3〜7日(10〜18時)で、残りは今日と明日だけですが、米屋さんの写真は本当に美しいものばかりですので、一見の価値があります。時間のある方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
 ところで以前も書いたように、信濃川田駅がある屋代線は、存亡の危機にひんしています(長野電鉄初乗り)。8月にわたしが屋代線を訪れたときは、列車の増発などによる実証実験を実施していたのですが、結果は思わしいものではなかったようです。

屋代線、利用者低迷の現状浮き彫り
2010年10月28日 信濃毎日新聞
 長野電鉄屋代線で7月〜9月に行われた実証実験で、利用者数が1割程度伸びたことが27日に開いた長野電鉄活性化協議会(会長・酒井登長野市副市長)の会合で分かった。(後略)

 信濃毎日の記事では「1割程度伸びた」としていますが、要するに1割「しか」増えなかったといった方が妥当でしょう。
 屋代線の1日1kmあたりの平均通過数量(輸送密度)は、前の記事で書いたとおり459人です(2007年度)。輸送密度=利用者数ではないので単純に比較できませんが、仮に輸送密度が1割増になったとしても約500人です。これでは鉄道の維持は難しいでしょう。
 列車を増発するなどの施策を実施しても利用者が思うように増えないという状況ですので、当然ながら鉄道廃止、バス転換の話も出てきています。

長野電鉄屋代線:費用対効果は代替バス優勢 /長野
2010年10月28日 毎日新聞
 乗客の減少で厳しい経営状況が続く長野電鉄屋代線(須坂−屋代、24・4キロ)のあり方を話し合う協議会で27日、同路線をバスに転換した場合、赤字額が現状の半額に縮小するとの試算が示された。地域社会への費用対効果も、屋代線は今後30年で投資に見合った効果は得られないと分析された。(後略)

 この記事では、実証実験の結果が試算に反映されているのかどうかはっきりしないのですが、仮に反映させたところで結論が大きく変わることはないでしょうね。
 もっとも、バス転換したとしても「赤字額の現状の半額に縮小」、つまり赤字経営になることに変わりないわけで、今後はバス転換を前提としつつ、バスの赤字をどう負担していくかというのが議題の中心になるのではないでしょうか。
 いずれにせよ、風情のある木造駅舎が、屋代線とともに消えていく可能性が高まっていることだけは、確かなようです。

コメント

  1. kihayuni より:

    「目を血走らせて被写体を追い回す怖い人」は、パパラッチしかいないでしょう(笑)。
    以前、小沢駅で米屋さんの撮影におつきあいしたことがありました。4×5版で撮っていたので、車で通りかかった人が珍しがって「なにやってんの?」と声をかけてましたよ。

  2. kusamachi より:

    シノゴのカメラはただでさえ目立ちますからね。あれを担いであちこちの木造駅舎を撮っているというだけでもすごいです。

    >「目を血走らせて被写体を追い回す怖い人」は、パパラッチしかいないでしょう(笑)。
    まあ、うぶだったんですよ。15年前は(笑)。