先日、「海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件をきっかけにクローズアップされた尖閣諸島の領有問題がようやく落ち着きつつありますが」と書きましたが(尖閣諸島と中国の地図)、それからほどなくして内陸部の都市を中心に反日デモが続発するようになり、落ち着くどころか、さらに厄介な状況になってしまいました。半ば官製デモのようなにおいが感じらるものの、その一方でデモ参加者の一部に中国政府批判のプラカードを掲げる者が出現したり、さらには教育問題に端を発したチベット族のデモも拡大しているようで、中国政府としてはイライラが募っていることでしょう。
ところで、昨日と今日は中国の高速鉄道車両の写真を整理していました。
中国では「中国鉄路高速(Chinese Railway High-speed=CRH)」と呼ばれる高速鉄道車両が運用されています。2010年10月現在ではCRH1形、CHR2形、CRH3形、CRH5形の4形式が存在し、いずれも海外技術の導入によるものです。とくに川崎重工業が技術供与したCRH2形(写真上)は日本でも有名で、外観から車内に至るまで、JR東日本のE2系(写真下)とそっくりです。ちなみに、CRH1形はカナダのボンバルディア、CRH3形はドイツのシーメンス、CRH5形はフランスのアルストムが技術供与しています。
しかし、CRHの形式はCRH1〜3・5で、なぜか「CHR4形」が存在しません。正確な理由ははっきりしませんが、「4」を忌み番号として避けているというのが有力な説です。中国でも日本と同様、「四」は「死」を連想させる不吉な数字として扱われており、あながちウソとも思えません。いちおう社会主義国家である中国の国有鉄道が、そんな迷信に惑わされてどうすんだという気もしますが(苦笑)。
一方、日本の鉄道車両も忌み番を嫌う傾向が多少あり、たとえば鹿島鉄道(2007年廃止)のKR500形は4両が製造されていますが、車両番号は501〜503・505で、「504」が欠番になっています。また、日本の旧国鉄ではとくに忌み番を嫌う傾向はなかったものの、「54」形式を名乗る機関車は、なぜか短命に終わったものが多かったです。
なお、現在のCRHは「和諧号」という愛称が付けられており、車体の前面と側面に簡体字で「和諧号」と書き込まれています。「和諧」とは「調和」を意味する中国語で、中国政府が掲げるスローガンでもありますが、今の中国は「和諧」とはほど遠い状況ですな。
もっとも、「和諧」した社会でないからこそ、「和諧」をスローガンにしたともいえます。そういえば、かつてNHKで『明るい農村』という番組が放映されていましたが、「農村は明るくない」というイメージからの脱却を図るため、タイトルを「明るい〜」としたのでしょうか。
「4」を嫌う鉄道車両
