前回の記事(遠鉄の輸送密度は1万人台)で「静岡県内の私鉄(JR以外の鉄道事業者)としては、岳南鉄道、静岡鉄道、大井川鐵道、天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道の5社があります」としましたが、うっかりして伊豆地方の伊豆急行と伊豆箱根鉄道の2社を忘れていました。立て続けにミスが発生してしまい、申し訳ございません。
ただ、弁解するつもりはありませんが(といいつつ弁解してしまいますが)、わたしには伊豆の2社が、「関東地方の私鉄」のように思えてしまうのです。伊豆地方は広義の関東地方として扱われることが多く、実際に廃藩置県後の1871〜1876年は足柄県として伊豆一円が関東地方として扱われていたこともあります。このため伊豆→関東の一地方→伊豆の鉄道2社は関東の私鉄、という認識が強くなり、静岡県の私鉄であるということを忘れてしまうのです。
伊豆半島の付け根にある熱海温泉にしても、静岡県内でありながら「東京の奥座敷」と呼ばれることが多いですし、伊豆地方が静岡県に所属していることを忘れている、あるいは知らない人は意外と多いのではないでしょうか。そもそも今回のリサーチ自体、「静岡県内の岳南鉄道、静岡鉄道、大井川鐵道、天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道」ということで発注されており、伊豆急行と伊豆箱根鉄道は関東地方の私鉄として別に調査されることになっています。
また、地方私鉄を地方別や都道府県別に区分する場合も、伊豆地方は微妙な部分があります。伊豆2社のうち伊豆急行は伊東〜伊豆急下田間を結ぶ伊豆急行線を運営しており、全区間が静岡県内に収まっていますが、伊豆箱根鉄道は神奈川県内の大雄山線小田原〜大雄山間と、静岡県伊豆地方の三島〜修善寺間を結ぶ駿豆線(写真)、そして静岡県函南町内の十国鋼索線(ケーブルカー)を運営しているため、関東地方と東海地方、あるいは神奈川県と静岡県のどちらに区分すべきかという迷いが生じてしまうわけです。
ちなみに、伊豆急行は関東大手私鉄である東京急行電鉄(東急)の完全子会社で、伊豆箱根鉄道も関東大手私鉄の西武鉄道グループの一員です。「強盗慶太」こと後藤慶太率いる東急と、「ピストル堤」こと堤康次郎率いる西武が、伊豆と箱根山で繰り広げた「戦争」の歴史も興味深いものがありますが、とりあえず今回は静岡県内の私鉄5社→7社の訂正だけでおしまい、ということにしておきます。
伊豆の2社を忘れていた
