わたしは文章を書いてお金をもらっている作文屋ですが、残念ながら文章を書いているだけでは生活が成り立ちません。ほかにも雑誌の校正やホームページの制作、各地で撮影した写真の提供、雑誌等の誌面で使うデータのリサーチなど、作文稼業との関連性が高い「副業」もこなして何とか生きながらえております。
ここ数カ月はそうした「副業」の収入も減り、いよいよまずい状況に陥っているのですが(苦笑)、少し前にリサーチの追加発注があり、今は静岡県内の私鉄について調べているところです。捨てる神あれば拾う神あり、といったところでしょうか。
2010年10月現在、静岡県内の私鉄(JR以外の鉄道事業者)としては、岳南鉄道、静岡鉄道、大井川鐵道、天竜浜名湖鉄道、遠州鉄道の5社があります(※2010年10月19日11時08分追記:正確には伊豆地方の伊豆急行と伊豆箱根鉄道を含む7社です→伊豆の2社を忘れていた)。このうち岳南鉄道は別の方が担当することになっているので、わたしは残り4社のデータを作成することに。先週末から作業に取りかかり、今日になってようやく1社目となる「遠鉄」こと遠州鉄道のデータを完成させました。
現在の遠州鉄道は、JR浜松駅北口の新浜松駅を起点に北上し、天竜浜名湖鉄道との連絡駅である西鹿島駅までの鉄道線を1本運営するだけの鉄道会社ですが(「バス路線もあるだろ」という突っ込みはなしでお願いします)、会社や路線の成り立ちはそれなりに複雑で、データ量の割りには意外と手間がかかってしまいました。
それはともかく、遠州鉄道で特筆すべきことといえば、高頻度運転の実施ではないでしょうか。遠鉄は1972年から10分間隔(一部区間は20分間隔)での運転を開始し、翌年から全線11分間隔に変更。1983年からは12分間隔とやや長くなったものの、現在に至るまで高頻度運転を続けています。地方私鉄で10分台の運転間隔を維持しているところは、そう多くはありません。高頻度運転のおかげなのか輸送量も比較的堅調で、平均通過数量(輸送密度)はここ20年ほど1万人/日km台で推移しています。輸送密度が1万人台というのは、JRなら幹線クラスの路線です。
人口規模の大きい浜松市域を縦断するルートという好条件があるとはいえ、車社会の深度化が著しい地方都市で高頻度運転を行っているというのはすごいことで、「待たずに乗れるダイヤ」を実施すれば、たとえ地方の鉄道路線でも勝ち目があることを示してくれているような気がします。
逆に言えば、高頻度運転の実施で輸送量が大幅に増えるだけの人口規模がなければ、鉄道を維持する意味がないとも言えますが。