「2番」「2位」と聞くと、子供のころに見ていた特撮番組『快傑ズバット』を思い出してしまう世代の草町です(笑)。最近なら、やはり蓮舫参議院議員の「2位じゃダメなんでしょうか?」という発言ですかね。
話は変わりますが、世界で一番長い鉄道トンネルといえば、津軽海峡の海底を貫く海峡線の青函トンネルです(写真は青函トンネル内に設けられた竜飛海底駅)。とくに鉄道に関心がない方でも、青函トンネルが世界一の長さであるということは、ご存じの方も多いでしょう。その長さは53.85kmで、東海道線の東京〜藤沢間(営業キロベースで51.1km)よりさらに長いというのですから、青函トンネルが2番になる日が来ることはないだろうと思っていました。
ところが、その青函トンネルを2番に転落させるトンネルが、まもなく貫通することになりました。スイス・サンゴタルド峠(ゴッタルド峠)の下を通る、新ゴッタルド基底トンネルです(AlpTransitホームページ)。
ゴッタルド峠下を通過する鉄道トンネルは19世紀末に完成していましたが、山岳路線で曲線と急こう配の多い線形であったため、輸送力が小さいという問題がありました。そこで、現行のゴッタルド鉄道トンネルより直線的なルートでこう配も緩和した新ゴッタルド基底トンネルを建設することになり、1993年から工事に着手。それから17年の時を経て、10月15日に貫通する予定となっています。
青函トンネルが複線鉄道の本坑1本(一部区間は先進導坑と作業坑が並行)であるのに対し、新ゴッタルド基底トンネルは単線トンネル2本で構成されており、その長さは西側のトンネルが56.978km、東側のトンネルが57.091km。東西両トンネルとも青函トンネルより3〜4kmほど長く、世界一長い鉄道トンネルになるわけです。なお、15日に貫通するのは東側のトンネルで、すべての工事が完成するのは2017年の予定です。
わたしが子供のころ、世界で一番長い鉄道トンネルはスイス・イタリア国境のシンプロントンネル(19.8km)でしたが、1979年1月25日に貫通した上越新幹線の大清水トンネル(22.2km)が世界一の座を奪い、続いて1983年1月27日に先進導坑が貫通(本坑貫通は1985年3月10日)した青函トンネルによって、日本は世界一のタイトルを維持し続けていました。スイスから奪った世界一がスイスに奪い返されるというのは、ちょっとした因縁を感じますね。
とはいえ、青函トンネルの工事で培われた技術と経験は、英仏海峡トンネル(ユーロトンネル)など、その後に建設されたトンネルで生かされています。長さが2番になったからといって、その功績まで否定するわけにはいかないでしょう。この点に関して言えば、2位でもダメじゃないのです。
もっとも、『快傑ズバット』の主人公に「おまえは2番だ」と言われた敵は、番組後半でひどい目に遭うというのが定番でしたが……(苦笑)。
※補足(2010年10月13日10時39分):新ゴッタルド基底トンネルは、現時点の日本メディアでの報道では「ゴッタルド・トンネル」と呼ばれており、ほかにも「ゴッタルド・ベース・トンネル」などの呼び方があります。ここでは現行のトンネル名との混同を避けるため、swissinfo.chホームページ日本語版の特集「ゴッタルド、世界で一番長いトンネル」で使用されている「新ゴッタルド基底トンネル」と呼称します。
青函トンネルが2番になる日

コメント
おまえは下から2番だ!というブービー賞は何度も取ったことがあります^^;。
ズバットは、自分だけ変身して、怪人でもない生身の人間をやっつけるのですから、卑怯だと思います(笑)。
「おまえは下から2番」
じゃあ、下から1番は誰なんですか?(笑)
>じゃあ、下から1番は誰なんですか
おいらよりボーリングのスコア(70点)が悪かったAクンです(笑)。