「中央新幹線品川駅」に見返りはあるのか

 さまざまな駅名が取りざたされてきた中央新幹線東京ターミナルの設置場所が、ついに決まったようです。

リニア中央新幹線の始発駅、品川駅の方針 JR東海
 JR東海は、2027年の開業を目指すリニア中央新幹線の始発駅を、JR品川駅(東京都港区)とする方針を固めた。駅の土地を共同所有するJR東日本と東京都に方針を伝えた。 (後略)
asahi.com 2010年8月9日10時58分

 中央新幹線の東京側ターミナルは、かつては新宿駅に設けることが想定されていましたが、後に汐留貨物駅跡地や品川駅などが浮上し、近年は品川駅が最有力候補とされていました。今回の報道はこれまでの経緯の延長線上にあるものですが、関係各所に報告したということは品川駅で内定したということになりますから、正式な発表も近いと思われます。
 それにしても気になるのは、中央新幹線に対するJR東日本の姿勢です。中央新幹線が開業すれば中央線の甲府以東、場合によっては塩尻以東の収入が大幅に減少するのは確実ですから、中央新幹線は開業して欲しくないというのがJR東日本の本音でしょう。しかし、今のところJR東日本中央新幹線の計画に協力的で、品川駅の地質調査もJR東海からの委託を受けて実施しています。東海道新幹線品川新駅の経緯を思うと、気味が悪いくらいです。
 わたしは、JR東日本の協力姿勢の裏には、何らかの見返りがあるのではないかと思っています。たとえば東京駅の新幹線ホーム。現在は東北新幹線が2面4線、東海道新幹線が3面6線となっていますが、今後の北海道新幹線開業や北陸新幹線延伸を考えると、東北新幹線のホームを増設したいところ。その一方で東海道新幹線のホームは中央新幹線の開業で余裕が生まれるはずですから、JR東日本としては東海道新幹線のホームを少なくとも1面は譲り受けたいところでしょう。そのためにはJR東海の協力が不可欠です。
 あるいは、東北新幹線方面の列車を東海道新幹線に乗り入れさせ、三島駅辺りから発着させるようにすることも考えられます。この場合は東京駅での折り返しが解消されてホーム増設と同様の効果を生み出し、さらに品川駅を通ることで中央新幹線にも直接乗り換えできるようになるというメリットがあります。
 東北新幹線東海道新幹線の直通化は、東北新幹線の東京〜上野間開業を控えた時期にJR東日本が積極的な姿勢を見せたことがありましたが、JR東海東海道新幹線の輸送力不足などを理由に難色を示し、最終的にはJR東日本も断念しています。しかし、前述の通り中央新幹線ができれば東海道新幹線の輸送力に余裕が生まれますから、直通化もそう難しい話ではないでしょう。いずれにせよ直通化のためには東京駅ホームと同様、JR東海の協力が必要です。
 中央線の収入減に対する見返りはあるのかないのか。あったとしたら、それは東京駅ホームなのか、それとも乗り入れなのか。いろいろと気になるところではありますが、一番気になるのは中央新幹線の開業までわたしが生きていられるかどうか(苦笑)。首都圏〜中京圏間の先行開業は大丈夫だと思いますが、中京圏〜大阪圏間の全線開業は微妙なところです。