今日から高速道路の一部無料化実験が始まりました。国土交通省の発表によると、午前0〜12時の交通量(速報値)は、実験開始前の6月21日と比較して約63%増加したとのこと。まだ始まったばかりですから、少なくとも1〜2カ月くらいは様子を見ないと何とも言えませんが、無料化された高速道路に並行する鉄道路線に一定の影響を与えることは確実で、今後どのような形で鉄道側への影響が出てくるのか、気になるところです。
ところで、高速道路の無料化で思い出したのが、元高校教諭の三輪伸雄氏が発表された『国鉄無賃論』(1984.12)。この本自体は自費出版で、現物は見たことがないのですが、確か『時刻表イクスプレス』(平原社・笠倉出版)か、その前身に相当する雑誌(名前を思い出せない…)に概略が記載されていたような気がします。
当時の記憶だけで書いているので間違いがあるかもしれませんが、確か運賃は無料化しつつ、料金(特急料金やグリーン料金など)は有料を維持するというもので、運賃収入はゼロになってしまうものの、特急列車やグリーン車は無賃化の分が値下げとなるため利用者が増加し、料金収入が大幅に増加する。さらに無賃化によって企業の通勤手当が浮くことから、この分を「還元金」なる名目で国鉄の収入に加えるなどの「増収」策を講じ、これにより年間1兆円もの赤字を出していた国鉄を黒字化できる―という趣旨であったと思います。
実際には、利用者の大幅増で列車の増結や増発に追われることになり、その分の設備投資でさらに借金を膨らませてしまいそうですし、それに無賃化で出改札や検札の業務を大幅に合理化できるため、労働組合の反発は相当なものになっていたでしょう。ただ、高速道路の一部無料化実験をするのであれば、鉄道など公共交通の無料化実験も、比較の意味においてやってみてもいいのではないか、とも思います。
高速道路の無料化実験と『国鉄無賃論』

コメント
『国鉄無賃論』についての概略は、ほぼその通りだったと思います。
鉄道ジャーナル1985年4月号(No.218)のP.131「魚眼」のコーナーで取り上げられています。
公共交通無賃化については、両備グループの小嶋光信代表が唱えられておられましたね。
僕はエイプリルフールのネタに使ってしまいましたが、筋の通った、試みてみるべき論だと思っています。
『鉄道ジャーナル』を確認しましたが、無料化のための財源をどうするのかという肝心な部分が「推理小説の例にならって」書かれていませんでした(笑)。
わたしは高速道路で実験するなら鉄道も…とは思いますが、基本的にはどちらも無料化することには反対ですね。理由はいろいろありますけど、列車に乗れることのありがたみが無くなってしまうじゃないですか(笑)。