トラックドライバーの簡易宿泊所のようなセラフスのゲストハウスを9時に出発。前に書いた通り、国境をまたぐ旅客列車が運転されていないので、タクシーでトルクメニスタンの出入国審査所に向かいます。
トルクメニスタン・セラフスの出国審査は比較的あっさり終了しましたが、イラン・サラフスの入国審査は長い時間待たされた挙げ句、私だけ別室に呼ばれて指紋を採取。両手すべての指紋を第2関節まで採取されるという厳しさで、まさに犯罪者扱い。中国の出国ほどではないにせよ、荷物検査もありました。
出入国審査所からタクシーでサラフス駅に行きましたが、駅舎内には切符売場も時刻表の掲示もなく、国境警備隊らしき軍人はいても駅員の姿は見えない。本当に旅客列車がやってくるのかと不安になり、待合室や駅前をうろうろしていれば警官が現れてパスポートチェックを受けたりと、どうにも落ち着きません。
待合室にいた一般の人の話を総合すると、マシュハド行きの列車は13時ごろに発車する、切符は車内で買える、ということらしい。その言葉通り、12時40分ごろだったか、マシュハドからやってきたと思われる旅客列車がホームに入線し、これが折り返してマシュハド行きの列車になるようです。
列車が入線したのでホームに出ようとすると、今度はイラン鉄道のお偉方なのか、身なりのいい人が現れて英語で話しかけてきます。その人によれば、列車の発車時刻は14時30分で「何の問題もない。あなたは何も心配する必要はない」とのこと。「13時ごろ」という話は一瞬にして崩れ去り、マシュハド行きの937列車は定刻14時30分、マシュハドに向けて発車しました。
客車はヨーロッパの中古車両で、トルクメン側の615列車とはうってかわってきれいな座席車。客用側扉は片側2カ所のうち1カ所を埋めた改造の跡が見られます。検札で現れた車掌は笑顔で「ようこそイランへ」と歓迎してくれるし、ミネラルウォーターのサービスもあったりと、中国や中央アジアの鉄道とは明らかに違う空気が流れていました。
●行程
セラフス・ゲストハウス(タクシー)トルクメニスタン出入国審査所(乗合ワゴン)イラン出入国審査所(タクシー)サラフス駅※サラフス1430(937)1720(1700ごろ・20分早着)マシュハド
第35日(5月14日):セラフス→サラフス→マシュハド
