第14日(4月23日):→カシュガル

 朝起きても窓の外は砂漠、そして植物のまったくない天山山脈が続きます。よく殺風景な景色のたとえとして「何もない景色」などといいますが、実際には砂漠であっても砂があり、わずかに生える草木があり、砂が風雨にさらされて形状を変えたりと、「何もない」などということはありえません。しかし窓の外をずっと見ていると、「何もない」と言いたくなってしまう。いや、「何かある」と表現しては失礼なのではないか、そんな気にさせる砂漠でした。もっとも、人工的に形成されたオアシスなのか、ところどころに緑の集積地帯があり、そこでは田畑や民家が密集していました。
 お昼ちょっとすぎにカシュガル駅に到着。カシュガル駅は市街地から外れているので、バスに乗って市街地に入り、ドイツ人カップルと同じホテルに泊まりました。ホテルに入ってから翌日のウルムチ行き航空券を買いに街へ繰り出しましたが、街の中心部は現代中国の大都市そのもの。ただウルムチと違ってウイグル族の比率が極端に高まりますね。警官もウイグル族が多かったですが、彼らは昨年の騒乱の際、苦しい立場に置かれたのではないでしょうか。
 こういう環境で、いがぐり頭の小太り漢族おじさんを見かけると、いかにも「支配者面」に見えてくるのが不思議。かつての日本人も、場所によってはこんな雰囲気を漂わせていたのでしょうかね。そもそも私自身、見た目は漢族ですが。
 いわゆる職人街では、なぜか「リフリジエレーター」と記された日本の機械を店頭で発見。なにやら白い液体(飲み物?)が流れていましたが、元は業務用の冷凍庫でしょうか。かすれていたものの「阪神」の文字も見えます。おそらく中古品が流れ流れてカシュガルの地にやってきたのでしょうけど、まさかこんなところで「阪神」にお会いすることになるとは思いませんでした。
●行程
→1325カシュガルカシュガル駅(バス)カシュガル市内中心部の停留場