「トーマスクック」といえば、日本ではイギリスの旅行代理店というより、『ヨーロッパ鉄道時刻表(Thomas Cook European Rail Timetable)』の発行元、というイメージを持っておられる方が多いでしょう。
このトーマスクックの時刻表、1973年までは『Thomas Cook Continental Timetable(大陸時刻表)』を名乗っていたのですが、1974年からヨーロッパ以外の国の鉄道も扱う時刻表として『Thomas Cook International Timetable(国際時刻表)』に改題。1981年からは再びヨーロッパのみ扱う『Thomas Cook Continental Timetable』に戻り、1988年から『Thomas Cook European Timetable(ヨーロッパ時刻表)』、そして2005年から現在の『Thomas Cook European Rail Timetable(ヨーロッパ鉄道時刻表)』に改題しています。つまり、1977〜1980年のわずか4年でしたが、ヨーロッパ以外の国も扱っていた時期があったのです。
ただし、ヨーロッパ以外の鉄道については、『Continental』への再改称に併せて創刊した『Thomas Cook Overseas Timetable(海外時刻表)』に掲載されるようになり、これは現在も発行されています。来年には創刊30周年を迎えることになりますね。
わたしは1985年に『Overseas』を一度だけ購入したものの、その後は入手難から目に触れる機会すらなかったのですが、近年はネット書店で比較的容易に入手できるようになり、数年前から購入し続けています。
海外の用事が多いというわけではありませんし、昨年訪れた中国にしても、中国国内で発行されている『全国鉄路旅客列車時刻表』で用が足りていますので、別に購入する理由はないのですが、未知の国のダイヤを眺めながら「この列車にはどんな車両が使われているのだろう」「この列車は○○駅であの列車に抜かれるダイヤを組んでいるのだな」と、いろいろ考えるのが楽しいのです。このブログを見てくださっている方なら、その心情はご理解いただけるかと思います(笑)。
ただ、『Overseas』を読んでいると、複雑な思いに駆られることもしばしば。たとえば写真のイラクのページでは、ダイヤ欄に並ぶ「時刻不明」の記号がこの国の状況を表しています。ある意味、世界の現実を鉄道の視点からうかがうことができる良書といえるでしょうか。
トーマスクックの海外版
