海外の鉄道と日本の鉄道ファン


 日本の鉄道ファンは海外の鉄道に興味がない…これはよく言われることですが、興味がないことを示す統計を見たことがないので、本当のところはよく分かりません。ただ、鉄道趣味誌で記事の人気投票を行うと、海外記事のランキングが総じて低いという話を何度か聞いたことがありますし、海外の話題を大々的に扱ったときなどは売り上げも悪くなるようです。
 やはり、お金と言葉の壁が大きく、興味を持ちにくいという面があるのでしょうか。
 そうした状況のなか、私は『鉄道ファン』2009年11月号において、中国の「寝台新幹線」ことCRH2E形の乗車ルポを書きました。「国内専門」の鉄道ファンにも興味を持っていただけるよう、冒頭で日本の寝台新幹線構想に触れるなど工夫したつもりでしたが、後日聞いたところでは、海外モノにしては意外と人気が高かったそうです。
 「私の工夫が功を奏したのだ」と胸を張りたいところですが、実際は工夫の有無に関係なく、JR東日本E2系1000番台をベースにした高速車両、しかも日本では実現しなかった「新幹線の寝台車」ということで、「国内専門」ファンにも関心を持ってもらえたのでしょう。とはいえ、不人気の海外記事を多数の読者に受け入れてもらうためにはどうしたらいいのか…そのことを考えるうえで、CRH2E形の乗車ルポ執筆はいい勉強になりました。
※写真は上海発北京行き「寝台新幹線」D322次(CRH2E形)の軟臥車(営業制度上は日本のA寝台、実質設備は2段式B寝台を4人用個室化したBコンパートに相当)