「国鉄転換路線だけじゃない 第三セクター鉄道の歴史と分類」(『鉄道ダイヤ情報』2013年6月号)

 本日発売の『鉄道ダイヤ情報』2013年6月号の特集「第三セクター鉄道2013」で、私は冒頭の「国鉄転換路線だけじゃない 第三セクター鉄道の歴史と分類」を書かせていただきました。
 第三セクター鉄道といいますと、世代によっては「国鉄再建法に基づき国鉄〜JRのローカル線を引き継いだ第三セクター」というイメージが強いのではないかと思いますが、第三セクター方式による鉄道会社は戦前から存在しましたし、戦後も都市鉄道の運営方式として多用されています。記事ではそのあたりの解説を中心にまとめました。

 なお、この記事では第三セクター鉄道をいくつかのカテゴリーに分けて解説しましたが、実は「番外」とした以下の分類を紙数の都合で割愛しています。

 第三セクターという言葉は英語の「The third sector」が起源と思われるが、「The third sector」は「Voluntary sector」と同義であり、国際的には非営利団体(Non for Profit Organization=NPO)などを指す。英語本来の意味に従えば、第三セクター鉄道とは半官半民組織の鉄道ではなく、「NPOが運営する鉄道」ということになるはずだ。
 鉄道事業法軌道法は法人だけでなく、個人や任意団体などが鉄軌道事業を経営することも想定して定められており、実はNPOなどが鉄道路線を運営することは不可能ではない。もっとも、今のところ「NPO鉄道」の実例は存在しない。
 ただ、下北交通大畑線(2001年廃止)の旧・大畑駅構内の線路を使用してキハ85形を動態保存している「大畑線キハ85保存会」は、NPO法人GEMBU傘下の団体として活動している。法的には遊戯鉄道の類であり、鉄道事業法軌道法に基づく鉄軌道事業者ではないが、キハ85保存会こそ真の第三セクター鉄道といえるかもしれない。

 「言葉の意味は時代によって、あるいは場所によって変わる」という事例の典型といえるかもしれません。