※(4)からの続き
代行輸送の乗用車は、ハザードランプを点滅させながら専用車線をそのまま進みます。
磁気マーカーの印は、駅の先にあった立体交差部のあたりで消えました。車両案内装置が導入されているのは「チョンマウル」駅の前後だけだったようです。
専用車線は「チョンマウル」駅を出てしばらくの間、一般車線から完全に分離した状態になっており、一般車線との間には植樹された分離帯が設けられていたり、場所によっては専用車線のみ高架や地下になっていました。

乗用車はBRT列車と同じ60〜70km/hくらいで走っていましたが、いつしか90km/h前後の速度になり、さらには専用車線と一般車線の完全分離がなくなったあたりから一般車線に移り、高速道路を走るただの乗用車と化してしまいました。
代行輸送の乗用車は10時38分、終点のオソン駅に到着。所定ダイヤと比較すると、25分の遅延でした。
年が明けて1月27日の現地報道(聯合ニュース)によると、2両ある磁気誘導バスは故障や性能試験のため運用から離脱し、現在は天然ガス(CNG)ハイブリッド低床バス1両と一般バス2両で運行されている模様です。4月からの本格営業開始時も、CNGハイブリッド低床バスか電気バスが採用される公算が高く、磁気誘導バスの採用は見送られるようです(※機械翻訳で読み取れる情報を意訳したため、誤読があるかもしれません)。私が体験した技術的なトラブルのほか、コスト面でも問題が多いためでしょう。
そもそも、ごく一部の場所にしか磁気マーカーがなかったことを考えると、もともと磁気誘導装置を本格的に導入するつもりはなかったのではないでしょうか。磁気誘導バスを開発した韓国鉄道技術研究院が、専用車線を借りる形で実証実験を行っていただけなのかもしれません。セジョンのBRTは「亜種」ではなく、普通のBRTとして4月の本格開業を迎えることになりそうです。
いずれにせよ、この結果だけを見てセジョンのBRT、ひいてはBRTそのものの利点や欠点を判断するのは早計です。BRTの肝はあくまで専用走行路であり、磁気誘導バス=BRTではないのですから。「専用走行路=BRTでもないだろ」とのご意見もあるでしょうが、専用走行路の確保がBRTの中核的な施策であることは確かです。
セジョンの場合、専用車線はほぼ全区間に渡って整備されていましたし、車両案内装置のないバスでもBRTの利点を最大限に生かした運行は可能との印象を持ちました。
セジョンの課題はBRTという機種そのものではなく、BRTの利点を生かすことができるだけの輸送人員を確保できるかどうか、つまりBRT沿線の開発が順調に進むかどうか、ではないでしょうか。(完)
【目次】韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(1)
【目次】韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(2)
【目次】韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(3)
【目次】韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(4)
【目次】韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(5)