ジャニーズ事務所vs文春

 少し古い話だが、最高裁は2月24日、週刊文春の記事が名誉毀損にあたるとしてジャニーズ事務所文芸春秋社に約1億円の損害賠償を求めていた訴訟において、ジャニーズ事務所の上告を棄却する決定を出した。これにより2審の高裁判決が確定した。
 その確定した高裁判決の内容は、文春がジャニーズ事務所に対し120万円を支払えというもの。これだけを見ると文春敗訴のように思えるが、その一方で判決は、ジャニーズ事務所の社長が所属タレントに対してセクハラ行為を行ったことを真実と認定している。
 この訴訟について、一般紙はどのように報じたか。

朝日新聞 2004年2月25日 朝刊
セクハラ記事「真実」 ジャニーズの上告棄却 損害賠償訴訟
所属タレントへのセクハラに関する記事の重要部分を真実と認め、文春側が支払う損害賠償額を一審の880万円から120万円に減額した二審・東京高裁判決が確定した。

毎日新聞 2004年2月25日 朝刊
[情報ファイル]ジャニーズ社長セクハラ ジャニーズ側の上告棄却 最高裁
「セクハラの記事の重要部分は真実だが、『飲酒、喫煙をさせている』などの記述は真実でなく名誉棄損」とし、文芸春秋側に120万円の賠償を命じた東京高裁判決(03年7月)が確定した。

中国新聞 2004年2月24日 夕刊
ジャニーズ側の上告棄却
「記事の主要部分は真実性の要件を満たしている」として、一審東京地裁判決が認めた賠償額八百八十万円を百二十万円に減額した二審東京高裁判決が確定した。

 セクハラが真実として認定された件に触れたのは朝日新聞毎日新聞のみ。共同通信配信記事と思われる中国新聞の記事では、セクハラの件を「記事の主要部分」とぼかしている。
 読売新聞は一時期ホームページで最高裁決定に関する記事を掲載していたが、その内容は損害賠償を命じた部分だけに触れており、セクハラ行為が真実と認定された件についてはまったく触れていなかった。また、この記事は2月24日夕刊か2月25日朝刊に掲載されているはずだが、草町が普段利用している新聞記事データベースにはその記事が収録されていない。  産経新聞最高裁決定そのものを報じていない。2月24日以降一週間の記事を調べてみたが関連記事はなかった。
 ちなみに、放送局については草町が視聴した限り、最高裁決定を報じた局は存在しなかった。
 国内有数の芸能事務所の社長によるセクハラともなれば、もっと大々的に報じられてもおかしくない。にも関わらず放送局は完全に沈黙、一般紙も最高裁決定という事実をベタ記事で報じただけ。これはやはり「圧力」なのだろうか。