手のひらを返す

 産経新聞は1月、高遠菜穂子さんの活動について触れた記事を掲載している。

産経新聞 2004年1月6日

戦禍の狭間、見捨てられた命 “ストリート・チルドレン”に日本人女性が救いの手
 【バグダッド=岩田智雄】イラクの首都バグダッドで、米軍の掃討作戦や武装勢力のテロ攻撃の陰でイラク人社会からも国際社会からも見捨てられ、すさんだ暮らしに身を沈めている青少年たちがいる。彼らはサダム・フセイン政権の弾圧や度重なる戦争で家族を失い、廃虚となっている雑居ビルの地下室に集まってきた。そんな“ストリート・チルドレン”に、北海道千歳市出身の日本人女性、高遠菜穂子さん(三三)が単身、救いの手を差し伸べている。

 記事全文を読んでみたところ、彼女の活動とその周辺の状況について事実を述べているだけだが、「救いの手を差し伸べている。」などの表現から考えても、危険地域における彼女の活動を好意的に見ていたことが分かる。
 そしてその3ヶ月後の産経抄は以下の通り。

産経新聞 2004年4月10日
産経抄
http://www.sankei.co.jp/news/040410/morning/column.htm
▼誤解を恐れずにいえば、“いわぬこっちゃない”とは、本来、人質になった三人の日本人に対していわねばならぬ言葉だ。イラクでは日本人外交官も殺害されて治安悪化は深まっていた。外務省は再三、最高危険度の「退避勧告」を行ってきたのである。
▼三人のうち一人は週刊誌に写真や記事を売り込むフリーのジャーナリスト、もう一人もフリーライターの若者。女性だけはイラクの子供たちへのボランティア活動に従事していた。同情の余地はあるが、それでも無謀かつ軽率な行動といわざるをえない。

 「手のひらを返す」とは、まさにこのことだろう。