韓国・世宗でBRTの「亜種」に乗ってみた(1)


 既にお伝えしている通り、私は2月14日発売の『週刊東洋経済 臨時増刊』2月22日号で、BRT(Bus Rapid Transitバス高速輸送システム)に関する記事を書かせていただきました(「BRTにLRTの代役は務まるか」など(『週刊東洋経済臨時増刊』2013年2月22日号))。

 BRTは、目新しい技術があるわけではありません。専用走行路はただの舗装道路ですし、そこを走る車両もただのバスです。しかし、BRTの中には名古屋ガイドウェイバスガイドウェイバス志段味線ゆとりーとライン)のように、車両と走行路に細工を施した「亜種」も存在します。
 今回寄稿した記事はBRTの基本を押さえたものであり、「亜種」は紙数の都合もあって簡単に触れただけでした。そこで、ここではゆとりーとラインと同じBRTの「亜種」といえる、韓国・世宗(セジョン)のBRTを紹介したいと思います。


 セジョンはソウルから南へ約120kmに位置する、大田(テジョン)北部の新興都市です。ソウルに代わる韓国の新しい首都として計画されましたが、憲法裁判所が「首都移転は違憲」との判断を示したことから遷都は中止されました。
 このため、一部の政府機関のみが移転する行政中心複合都市として計画し直され、2012年7月1日に「セジョン特別自治市」が発足。現在も市域の開発工事が進められています。
 このセジョン市の基軸公共交通機関として計画されたのが、BRTです。現時点では、テジョン地下鉄1号線の終点・盤石(パンソク)駅からセジョンの市域内を貫き、KTX京釜高速線の五松(オソン)駅に至る約30kmの区間がほぼ完成しているようです。
 セジョンBRTは2012年9月19日に「開業」しましたが、今のところはシステムテストとデモンストレーションを兼ねた試験運行の扱いらしく、運賃は無料です。その代わり、運転本数は今のところ1日約10往復とローカル線並み。本格的な営業運転は4月からになるようです。

 2012年12月23日にテジョンのホテルで1泊し、翌24日朝にテジョン地下鉄1号線でパンソク駅に向かいました。パンソク駅の上を通る道路に屋根付きのバス停があり、その脇に「BIMODAL TRAM」と記された、セジョンBRTの案内板が設置されていました。(続く

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